2009年11月12日

水脈速み

ヴォア・ヴェールは、今回の国文祭で記念合唱団「伊豆の国」の一員として(静岡県西部の主幹合唱団として)参加しました。総勢230名で演奏したのは、松下耕先生の委嘱作品「瑠璃色の空の下で」と「水脈速み」の2作品。国文祭の合唱の祭典が二日間にわたって行われたのも、委嘱作品が2つあったのも初めてのことだそうです。

特に水脈速みは、ベオグラード在住の詩人山崎佳代子さんの4編の詩に、オーケストラ付きの混声四部合唱が付けられた大作でした。

この二人のコンビでは、耕友会によって3つの作品が生まれています。いずれも、かつて存在したユーゴスラビアという国が崩壊していく中、セルビアのベオグラードに住み続けた山崎さんが、目の前で起こっていることを書きつづられた詩がテキストになっています。

「水脈速み」もその系譜に連なるものです。交流会で山崎先生から直接お話しをうかがったり、本番直前のリハーサルの時間に合唱団のみんなに詩の背景をゆっくりとお話していただいたことで、歌い手の心には深くこの曲を歌うことの大切さが沁みわたっていったと思います。

NATOの空爆以降、かけがえのない土地であったコソボから追い立てられて難民となったセルビアの多くの人々、あるいはさまざまな非難と迫害を受けながら「その土のにおいを愛して」故郷に残るお婆さんのことなど、テキストからは直接伝わってこないかもしれない21世紀の事実を知り、感じ、表現することができたのは何よりの貴重な体験でした。

このようなメッセージ性の高い音楽は、「伝える」ことに重きを置こうとするあまりそれが空回りするとになりがちですが、今回歌い手の一人一人が「知ること」「読むこと」「聞くこと」がいかに大切かということを強く実感しました。(管理人の私見が強すぎるかもですが。)

なかなかうまくいかなかった練習や、本番の少々の傷などをはるかに上回る感動と充実感を、ヴォア・ヴェールのみんなも得ることができたと思います。本当に素晴らしい時間でした。

いつか、この作品を再演される団体がネットでこのページにたどりつかれたときに、少しでも私たちの気持ちが伝わればと思い、このような長文を残しておきます。

県内では同じ記念合唱団に県中部から参加された静岡混声合唱団ひびきさんが、12月6日に静岡県芸術祭で第3曲を演奏されます。そのほかにも、ちらほらと本格的な再演の情報も耳に入って来ています。ぜひ多くの人に知っていただけることを願っています。

この作品は、初演よりも早くカワイより出版されました。ぜひ手に入れてご覧ください。
posted by 〆張 at 23:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 活動の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東京でコール青葉という混声合唱団の音楽監督をしている岩渕と申します。毎年3月東京オペラシティで定期演奏会をしております。来年のレパートリーを検討しておりましてこの水脈速みの楽譜を見つけました。メンバーに諮るために演奏の録音がないか探しております。

もしかして初演された時の録音、あるいは録画をお持ちでないでしょうか?もしお持ちでしたら、大変不躾なお願いで恐縮ですが貸していただけませんか。

どうぞよろしくお願いいたします。

岩渕秀俊
Posted by 岩渕秀俊 at 2012年05月25日 16:28
岩渕秀俊様、

ブログをご覧いただきありがとうございます。
「水脈速み」とってもいい曲ですよ。

さて、録音録画ですが、実行委員会の方へお問い合わせいただけますでしょうか?

このブログトップページの最下部に問い合わせフォームがありますので、そちらからメッセージいただけましたら、連絡先などお知らせしたいと思います。
Posted by 〆張 at 2012年05月26日 10:30
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